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研究不正

研究不正とは

捏造、改ざん、盗用は、その頭文字をとって、日本語ではネカト、英語では、ねつ造(Fabrication), 改ざん(Falsification), 盗用(Plagiarism)の頭文字をとり、FFPとも言います。

文科省のサイトに記載されている研究活動の不正行為等の定義です。
(1)捏造: 存在しないデータ、研究結果等を作成すること。
(2)改ざん: 研究資料・機器・過程を変更する操作を行い、データ、研究活動によって得られた結果等を真正でないものに加工すること。
(3)盗用: 他の研究者のアイディア、分析・解析方法、データ、研究結果、論文又は用語を、当該研究者の了解もしくは適切な表示なく流用すること。

⇒ 文科省の不正定義のページ 

最近のニュース

・2023/10/26 「薬の治験」で大量改ざん、組織ぐるみ不正の唖然 治験支援会社で「最大123件」の違反行為が発覚

・2023/7/20 国循理事長監修の論文で不正の疑い、第三者委員会で調査へ…画像使いまわしなど指摘

・2023/5/24 山口大教授、論文6本で研究不正の疑い 実験の画像データ加工か

・2023/3/6 広島大院元助教が実験データ捏造 学会で発表、懲戒処分相当

・2022/12/13 J&Jに公取委が立ち入り検査 内視鏡の消毒液めぐり競争制限の疑い

・2022/11/28 JAXA精神ストレス研究で捏造、改ざんなど多数 研究者や古川飛行士処分

・2022/11/24 研究活動上の不正行為に関する調査結果について (麻布大学)

・2022/11/3 日医工、後発品95品目を販売中止へ 「品質問題で製造再開困難」が主要因

文科省の取組

・2021年2月 文科省「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」を改正しました。

・2023年3月、2022年度の研究費不正防止、13機関の好事例公開しました。⇒ 関連記事13機関の好事例(令和4年度)

研究機関における公的研究費の管理・監査

研究公正(倫理)教育の必要性と推進方策 ー 予防倫理から志向倫理へー 2021 ワークショップ

⇒ 文部科学省の予算の配分又は措置により行われる研究活動において不正行為が認定された事案(一覧)

⇒ 研究不正行為への対応

日本医療研究開発機構 (AMED)

日本医療研究開発機構 (AMED)は日本版NIHとして2015年に設立されました。⇒ 記事

AMED設立に関する法律や議論が行われていた2014年はSTAP細胞の不正ニュースが報道されていた頃です。

当時の健康・医療戦略推進法案に関する附帯決議には、「臨床研究における不正防止の取組を推進するため、独立行政法人日本医療研究開発機構は、業務を通じた医療分野の研究開発に関する研究不正の防止に関するノウハウの蓄積及び専門的な人材の育成に努めること。」と記載がされています。

⇒ 研究不正の防止に関するノウハウの蓄積の文言 (PDFのp5)

AMEDは、2022年10月、 「研究活動における不正規則等への対応に関する規則」を更新しました。⇒ AMEDのページ

不正監視告発ブログ、サイト等

日本の事件一覧と事件解析

研究不正の監視:リンク集 論文捏造 (11jigen)、研究者倫理-白楽ロックビルのバイオ政治学、他サイトへのリンク集

・Retraction watch: Category: japan retractions
研究不正があると論文は撤回されます。撤回された論文について掲載しているサイト。日本というカテゴリーがあります。⇒ サイトへ

書籍紹介

説明文はアマゾンのページより引用。

研究不正 - 科学者の捏造、改竄、盗用

<我が国はいつのまにか研究不正大国になってしまった>

科学のすぐれた成果を照らす光は、時として「研究不正」という暗い影を生み落とす。研究費ほしさに、名誉欲にとりつかれ、短期的な成果を求める社会の圧力に屈し…科学者たちが不正に手を染めた背景には、様々なドラマが隠されている。研究不正はなぜ起こり、彼らはいかなる結末を迎えたか。本書は欧米や日本、中韓などを揺るがした不正事例を豊富にとりあげながら、科学のあるべき未来を具体的に提言する。

黒木/登志夫
1936年、東京生まれ。東北大学医学部卒業。専門:がん細胞、発がん。東北大学(現)加齢医学研究所助手、助教授(1961‐71)、東京大学医科学研究所助教授、教授(1971‐96)。この間、ウィスコンシン大学留学(1969‐71)、WHO国際がん研究機関(フランス、リヨン市)勤務(1973、1975‐78)。昭和大学教授(1997‐2001)。

岐阜大学学長(2001‐08)。日本癌学会会長(2000)。2008年より、日本学術振興会学術システム研センター顧問。東京大学名誉教授、岐阜大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

嘘と絶望の生命科学 

小保方さんなんてかわいいほうですよ」 世紀の大発見のはずが一転、論文不正やねつ造の報道にとってかわられ、世間を驚かせたSTAP細胞をめぐる騒動。しかし、バイオの研究者たちの実感はというと、「もっと真っ黒な人たちがいる」というものだった。

iPS細胞の発見にはじまり、再生医療や難病の治療、食糧危機や絶滅した生物の復活まで様々な応用可能性が期待され、成長産業の柱として多くの予算を投入されるバイオ。しかし、生命現象の未知の可能性と崇高な目的が謳われるその裏で、バイオ研究を取り巻く環境は過酷さを増している。若手研究者たちの奴隷のような労働実態、未熟で自己流の研究者が多数生み出される大学院の実態、絶対の存在である大学教授、続発する研究不正……。

STAP細胞騒動の背景には何があったのか。一連の騒動によってあぶりだされた知られざるバイオ研究の虚構の実態を、かつて生命研究の一端に身を置いた科学ジャーナリスト賞受賞の病理医が、あらゆる角度から徹底検証。バイオの未来を取り戻すための提言を多数盛り込んだ決定版の1冊です。

榎木/英介
1971年、神奈川横浜生まれ。病理専門医、細胞診専門医。95年東京大学理学部生物学科動物学専攻卒。同大学院博士課程中退後、神戸大学医学部医学科に学士編入学。2004年医師免許取得。06年博士(医学)。現在、近畿大学医学部病理学教室講師。病理医として病院勤務を続けつつ、科学技術政策をウォッチする活動を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

生命科学クライシス 新薬開発の危ない現場  
リチャード・ハリス (著), 寺町朋子 (翻訳)

製薬企業が53件の研究を追試したところ、結果を再現できたのはそのうちわずか6件。再現失敗率、約90%―命を救うはずの研究が、低すぎる再現性のために、無用な臨床試験、誤った情報、虚しい希望を生みだし続ける。ずさんな研究はなぜ横行するのか?

その影響はどこまで及ぶのか?改革は可能か?トップ研究者から、政府組織の要人、業界の権威や慣習に立ちむかう「反逆児」、臨床試験に望みを託す患者まで、広範な調査・取材を基に、ひそかに生命科学をむしばんできた「再現性問題」の全貌をあぶりだす。

ハリス,リチャード
科学ジャーナリスト。科学・医療・環境を専門とし、ナショナル・パブリック・ラジオの記者として三〇年以上の実績がある。AAAS(アメリカ科学振興協会)の科学ジャーナリズム賞を三回受賞している。ワシントンDC在住

寺町/朋子
翻訳家。京都大学薬学部卒業。企業で医薬品の研究開発に携わり、科学書出版社勤務を経て現在にいたる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

国内外の動き

・欧米で進むオープンサイエンスへの動き - 米国大統領府科学技術政策局(OSTP)、連邦政府から助成を受けた研究の成果の即時公開を求める政策指針を発表他 ⇒ ブログ

・2023/2/22 科学分野での規範作りとグローバル報告書の作成―③ユネスコによる科学分野での取り組み ⇒ JSTのページへ

・公正研究推進協会(APRIN) 研究者等への研究倫理関連教材や勉強会の提供、そして研究機関の規範作り等へのコンサルテーションを通じて科学の発展に伴うグローバルな研究倫理を啓発するため2016年に設立された組織 ⇒ 公正研究推進協会HP

・京都府立医科大学 研究開発・質管理向上統合センターは、医学研究全般の科学性・倫理性を適正に担保し、研究の質管理・向上を一元的に行う組織です。⇒ 京都府立医科大学 研究開発・質管理向上統合センター

・東北大学 研究インテグリティ 研究の健全性・公正性(以下「研究インテグリティ」)という学術研究の基盤を確保し、国際的な信頼性を伴った研究環境を構築することが大切としています。⇒ HPへ

日本医療研究開発機構 (AMED)についての補足

2015年、国立研究開発法人【日本医療研究開発機構】(AMED)が創設されました。2013年、政府は「日本再興戦略」を策定し、【革新的な医療技術を世界に先駆けて実用化していく】こと、【優れた医薬品、医療技術などを開発し、医薬品市場の世界展開】などが目標として設定され、目標実現のため医療分野の研究開発を総合的に推進する司令塔機能として創設されました。

AMEDは、これまで文部科学省・厚生労働省・経済産業省にて別々に計上されてきた医療分野の研究開発に関する予算を集約し、基礎研究からその製品化にいたるまで、総合的に管理します。予算は国からAMEDに補助金として拠出され、 AMEDから、研究者・研究機関に対し委託という形で支払われます。内閣府に設置された健康・医療戦略推進本部が文部科学省、厚生労働省、経済産業省と調整を行います。それぞれの省からAMEDへ補助金等が提供され、AMEDから研究機関、研究者へ委託事業を通して研究費が配分されます。

AMEDの理事長や監事は内閣総理大臣が任命することになっており、初期のメンバーとして、厚生労働省、経済産業省、(独)科学技術振興機構、(独)理化学研究所、(独)医薬基盤研究所、(独)新エネルギー、産業技術総合開発機構から総勢102名(平成26年度)出されています。これ以外に任期の期限がある職員が200名ほど確保されています。

薬事法改正

薬事法もこの目標の実現のため、2014年に改正されました。 その名称も、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)に変わりました。

新しい法律には、医療機器の章が追加され、医療機器や再生医療の開発がより促進されるようになっています。【先がけ審査指定制度】や【未承認薬迅速実用化スキーム】など体制の構築も行われました。薬価制度も変わりました。

今までの生活習慣病用治療薬開発から、アンメット・メディカル・ニーズ(いまだに治療法が見つかっていない疾患に対する医療ニーズ)や、シーズ(=ニーズが消費者が求めているものを意味するのに対し、シーズは世の中にない新しい価値を提供し市場を開拓する種)の研究を行い、世界に先駆け革新的な医薬品、医薬部外品、再生医療品を、もっと世界の市場に出していこう、そのためには、産官学が連携し、縦割り行政ではなく、省庁を横断した取り組みが行われなければならないと、日本をあげて取り組んでいます。

医薬品医療機器総合機構 (PMDA)

AMEDが研究の司令塔なら、その新薬の審査は(独)医薬品医療機器総合機構 (PMDA)が行います。PMDAは2004年に設立され、治験前から承認までを一貫した体制で指導・審査(承認審査)する等の業務を行っています。PMDAはAMEDと新薬創出へ向けて、2015年連携協定を結びました。また同じく2015年、PMDA国際戦略2015を策定・公表しました。同じ日に 厚生労働省も国際薬事規制調和戦略を策定、発表しています。

研究の現場で3Rsが徹底して実施され、審査で動物福祉についても根拠を含めて審査されるよう、代替法の更なる研究と普及のための活動、そして、代替法を研究の現場で実際に使っていくようになるための仕組みの構築が求められます。

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